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ウールの特性ページ

「水を弾く・吸湿する」相反する性質を併せ持つウール、暖かさとサラッと感を両立させるウール。その不思議な性質はその構造を紐解くと明らかとなります。
ウールは1本の毛の中に性質の異なる複数の細胞が存在しています。「うろこ状の表皮部(スケール)」、「皮質部(コルテックス)」、「毛髄部」の3つの部位に分けられる筍のような多重層構造、矛盾した各性質ががウールならではの優秀性をもたらしています。

■ 冬は暖かく、夏はサラッと蒸れにくい、年中快適素材

保湿性

羊毛は"縮れ(クリンプ)"があるため、隣接する繊維との間に多数の細かな空気の層が生じ、空気をたっぷり含みます。その量はなんと体積の60%!優れた保温性によって冬でも体温ですぐに温まり、一度温まると熱を外に逃がしません。

温湿度調整性

羊毛には外の湿度に合わせて自ら表面の"スケール"と呼ばれるキューティクルを開閉して、湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用があり、「呼吸する繊維」と呼ばれているのです。汗や湿気も吸放湿をするので、夏もさらりと過ごせます。

しわになりくい

縮れ(クリンプ)は繊維内側の"コルテックス"という部分によりできています。2種類の微妙な違いをもつ細胞が合わさって弧を描いてちぢみ、らせん状に伸びています。湿度の変化で伸縮するため、あたかも生きているように動きます。伸ばしても元の形状にもどろうとすぐに縮みます。優れた弾力性により、型崩れしにくいです。

■ 水を吸うのに、水を弾く繊維

撥水性

優れた吸湿作用から湿度や汗を吸い取る反面、ある程度の水分をはじく撥水性があります。これは水を弾く性質を持つ表面のスケールと繊維にコーティングされたラノリンという羊の脂質の性質によるもの。小雨もはじき、水やコーヒーなどをこぼしてもはじいてくれるので汚れもつきにくいです。

吸湿性

水分量が多くなると親水性をもつ内側の"コルテックス"が水分を吸い込みます。羊毛は重量の30%もの水分を吸収することができ、他の天然繊維や化学繊維に比べても吸湿性が優れた繊維です。水分を吸収した時に発生する熱、”湿潤熱”は繊維の中でも最も高いため、水に濡れても体温を奪わずに身体が冷えにくいです。保有した水分は凍ることがないため、寒い地域や登山などアウトドアでは欠かせない存在です。

防火性

人間の髪の毛と同じタンパク質でできているウールは火がついてもちりちりと部分的に黒球ができ、燃え広がりません。焚火など火の扱いが多いキャンプやバーベキューでも安心して使えます。

防臭性

天然の抗菌作用で菌の繁殖を防いでくれます。汗を吸収しても臭くなりにくいため、ソックスやインナーアイテムとしても大助かりです。

■ 生分解する前に、世代を超えて受け継ぐウール

防臭性

毎年新しい羊毛を育むひつじ達からの恵み、ウール。天然繊維100%のウールは土や海の中でも分解し続け、地球上の自然な循環を繰り返してくれるのです。

再生可能性

まだまだ終わらない、ウールの使い道。古くからスウェーデンでは使い古したウールの衣類やスローの毛糸をほどき、新しく編み直して再利用していました。耐久性があるので商品だけでなく毛糸自体も、世代やカタチを超えて長く使えます。

出典:
・Textile Exchange Preferred Fiber & Materials Market Report 2022 (2022,Textile Exchange)
・おもしろサイエンス繊維の科学(日本繊維技術史センター編集、2016年)
・新版アパレル素材の基本(繊研新聞社、2018年)

ウール寝具が睡眠の質を上げる・・という驚きの研究結果

ウールの優れた吸放湿による湿温度を調節する機能は、睡眠の質を上げます。ウールを寝具やナイトウェアとして肌に近いところにつかうことで、他の繊維よりも深く長い睡眠をもたらすという研究結果が明らかになってきました。シドニー大学の研究結果ではポリエステルやコットンのナイトウェア着用時に比べて、ウール着用時の方が4分〜10分以上も早く眠りにつきました。 汗を吸収し、体温の変化に合わせて自然に呼吸するウールは体温調節機能が低い赤ちゃんやお年寄りの寝具としても快適な睡眠を促します。
クリッパンのウールは一般的なウールよりも繊維が細いため、皮膚への刺激が最小です。いわゆるチクチクがKLIPPANウールにはないのはそのためです。 人生の3分の1は睡眠時間、睡眠への悩みを抱える人は毎年増え続けています。ウールの寝具を使うことで睡眠時に快適な体温を保ち、良質な眠りにつきませんか?

出典:
・Textile Exchange Preferred Fiber & Materials Market Report 2022 (2022,Textile Exchange)
・The effects of fabric for sleepwear and bedding on sleep at ambient temperatures of 17°C and 22°C. Shin, M., Halaki, M., Swan, P., Ireland, A., and Chow, C. Nature and Science of Sleep, Volume 2016, 22 April 2016.
・N.A. G. Johnson and I.M. Russell (eds). Advances in Wool Technology. The Textile Institute, CRC Press, Woodhead Publishing Limited (Cambridge, England, 2009)
・P.R. Dickson, Effect of a fleecy woolen underlay on sleep. The Medical Journal of Australia 140 (1984)
・Determining Effects of Superfine Sheep wool in INfantile Eczema (DESSINE): a randomized pediatric crossover study