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連載『山のてっぺん 海暮らし』 第10回「番外編 ー日本一周クルーズ 総集編ー」

「山のてっぺん 海暮らし」第10回

番外編
-日本一周クルーズ 総集編-



毎朝毎夕、遥かかなたの水平線を眺めやるしあわせ。

東京〜石巻、釧路、小樽、函館、金沢、境港、(福岡スキップ)、釜山、那覇、(高知スキップ)〜東京。
東京港船中での前泊入れて20日間の洋上の旅、台風6号と7号で寄港地は2ヶ所スキップしましたが、思っていた100倍たのしく快適な休暇でした。

19日間で3回、緊急搬送ヘリコプター。隊員が船まで宙吊りで降り、病人を抱え宙吊りで機内へ2往復、撮影しながらハラハラドキドキ、無事に飛び去り、、ホッ。

1700人乗客で、リタイア後の高齢者が多いのはうなづけますが、こどもが多いと思ったら18歳以下は無料! こどもたちは、走り回り、泳ぎ、友をつくり、朝5時から24時までオープンのビュッフェで好きなものを食べ・・で、広い船内生活満喫の様子、親もラクチン・・。

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船内でのビュッフェ。和洋中ほか、多様なメニューがいつでも食べられる。


そして意外にも、退屈かと思われた洋上の一日が興味深いセミナー(ピースボートだからこそ)や映画でたのしく、ゆるやかな揺れを感じながら、海を眺めながら、くつろぎの時を過ごせたことは想像外でした。
ニュージーランド・マオリ族の子供たちも乗船、ラグビーでお馴染みのハカの歌とダンスを披露してくれたり、10数カ国の乗船客、スタッフはほぼ外国人と、大げさじゃない交流がそこらじゅう、、。

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左:東京湾を出るところ 右:大賑わいだった船長主催のパーティ


石巻では、福島の原発汚水放水決定の瞬間から魚が売れなくなった、小樽も函館も若者はみな東京や都会に出てしまう、金沢ではようやく回復した観光にひと息、安堵、境港は観光地図に観光要素ゼロ、三大漁港だったのはもう昔の話・・すべてタクシーの運転手さんの話です。

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左:金沢 本多の森にて 右:金沢の武家町 


唯一の外国釜山は、イメージがひっくり返る、ビルが立ち並ぶ大都市になっていて、ビックリシタニダ、、。
ロッテ百貨店の地下はバラエティ豊かなフードコート、野菜とお肉と海老蒸し、えごまに包んでピリ辛たれ・・ここまでの食事でいちばん、1200円。シャインマスカット一房1000円。

一昔前のニンニク、辛いだけじゃないフード、食も超速の進歩を遂げるアジアです。

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釜山での食事、ここまででいちばん!


寄港地の地方都市の活力の差は歴然、どう生きていく道があるのか、頼まれてもいないのに考え込んでしまう。

洋上での暮らしは、いつもいつも360度遥か彼方、水平線のもっともっと向こうにいる人を思い、呼びかけ、声に出さずに対話をし、水平線に沈む太陽を眺め、夜は海に映る月の光がつくるムーンリバーを眺め、、地球は大きい、海は広い、、、そして私たちは地球の小さな小さな一部・・というただただプリミティブな感想をずっと抱き続けるものでした。

海の色も、海面も、波の動きもうねりも、空も水面からむくむくと湧き上がる雲、一つの生命体として変化し続ける地球の営み、もうそれだけで船に乗った甲斐があった・・でした。

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左:ゆったりと楽しんだ船旅。姉・啓子とともに。 右:晴れた日の洋上ではオープンデッキで映画上映


船の揺れはいつのまにか気にならなくなり、波音も心地よい眠り、ぐっすり。

1700人もの乗客と700人以上のスタッフが、3食、シャワー、、何一つ困ることなく暮らすさまは、奇跡としか思えない船上生活、国際クルーズターミナルが寄港地には必ずできていることも、あたりまえだけけれど、全然知らなかった現実。

日本におけるコロナは、クルーズ船騒ぎから始まって、今こうして平和にクルーズが再開したことはめでたいことだけれど、その頃にはなかったウクライナへの攻撃と戦争、そのためにウラジオストック寄港がキャンセルされ、航路もロシア側は外務省からストップがかかり、、と、世界も地球も未来に向けて明るいことばかりではない、航路も寄港地も大自然、天候に従わされ台風6号で福岡、7号で高知をスキップ、人智を超えてすべては動く、、。

航空機での移動では決してない、目的地=点に向かうのではなく、その点にはやく行くための交通手段ではなく、点と点の間をこそ、ゆったりたのしむというもう一つの旅のあり方、これからはこれでしょう。

すべての港の出入りにタグボートの姿、巨艦が一人では正しく着岸も離岸もできない、小さなタグボートが巨艦を動かす、感動しました。

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タグボートがいつも助けてくれる


「ひとりひとりの暮らしから、快適なサステナブル社会をつくる」

私たちは水先案内タグボート。巨艦という社会を先導し、引っ張り、押し、、快適でサステナブルな港に着岸させるまで働き続ける。

小さな小さな私たちの活動が大きな社会という巨艦を先導、引っ張る、押す。
小さな小さなタグボートがやれている、だったら私たちだって・・。

あ~たのしかった、いい旅でした。


髙橋Suzuki百合子




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