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開発物語三の巻:開発よもやま噺(前編)

三の巻:開発よもやま噺(前編)

KLIPPANリネン&シュニールコットンブランケット開発ものがたり連載、
3回目となる今回は、イーオクト株式会社 営業本部 ノルディックチーム(髙橋 啓子、加藤 由布子、池内 いずみ、石川 まゆみ、小川 香子、勝又 成美、中島 恵美、輪千 明日香)による開発よもやま噺。
前編、後編に分けてお届けいたします。


新素材ブランケット開発のきっかけ

中島今日はみなさんから「リネン&シュニールコットンブランケット」の開発から完成までのお話をじっくり聞こうと思っています!わたしが入社した時(2019年12月)にはすでに開発プロジェクトが進んでいましたよね。新しいブランケット開発のきっかけは何だったのでしょう。

髙橋啓子(以下、啓子)百合子社長(イーオクト代表 髙橋百合子)から「日本の夏にあう肌掛けを作ろう!」という発案があったのは2019年の5月。
ライトシュニールよりもっと軽い素材がいい、それはなんだろう・・・素材のイメージがつかなかったけど、絶対に必要だし、夏の寝具を強化できると思ったわ。

加藤 わたしもシュニールコットンはほかにない肌触りで競合品がない、価値が高いものと思っていましたけど、バイヤーから「夏に使うにはちょっと重いですね」と、タオルケットと比較して言われることが多くて。バイヤーが納得する日本の夏にあうものが欲しいと思っていました。

池内 そうですね、シュニールコットンはしっかりした厚みに保温性や吸湿性があって通年使える一方で、夏に肌掛けにするには少し重いよね、とみんなで話していましたね。

啓子 5月27日にパニラ(クリッパン副社長パニラ・ルース)に「コットンの新商品開発をします。」とメールをした直後に、輪千さん(イーオクト元スタッフ)が開発室からリネンとシュニールで織ったサンプルのブランケットを見つけてきて!

輪千 はい!開発室には素敵なアーカイブやクリッパンから送られてきたサンプルがいろいろ保管してあるので、新商品のアイデア探しをしていました。
発見した瞬間、これはぜったいに気持ちいい!と確信して、すぐに啓子さんに見せたんです。

啓子 わたしも見たことがなかった。(啓子さんはイーオクトの生き字引なのです!)
タグに「リネン、シュニール」と表記があって、これだ!と可能性が見えた時は嬉しかった!

小川 輪千さんにサンプルを見せてもらった時、とにかく手ざわりがよくて涼し気で、蒸し暑い日本の夏に合いそう!と思いました。

加藤 わたしもリネンとシュニールの掛け合わせと聞いた時は、リネンの涼し気な感触が目に浮かんで楽しみになりました。

池内 市場でニーズはあったし、わたしもリネンに注目していました。だから、これは動く!と分かりましたよね。

一同 うなずき。

石川 わたしもワクワクしました!でもその一方で、シュニール、ライトシュニール、そしてリネンの混じったシュニールと3種になるので、ニーズをどう分けるのか、それぞれの違いをどう打ち出すのか、気になりました。

勝又 わたしはその時は別のチームにいましたが、ノルディックチームがすごく盛り上がっていたのを憶えています。


開発決定!製品ができるまでの道のり

中島 思いがけず発見したサンプルがきっかけだったんですね!そのあと、開発は一気に前進したと思うのですけど、どんな工程で完成まで進みましたか?

池内 新素材にぴったりのデザインは何だろう、って、みんなで探しました。

小川 色も、素材に合うように、リネンもシュニールもナチュラル(無染色)はマストだよね、って話し合って。

輪千 わたしはクリッパンにブランケットの写真を送って、素材の混紡率を問合わせたりリネンの比率を依頼したりしている間にデザインを探したけど・・・。総柄とグラフィックの2デザインにしようと決めたものの、なかなかよいデザインが見つからなかったわね。そうこうしているうちに7月中旬になって、織りのサンプルが届いて。

石川 夏の間、みんなでずっと探しましたよねー!
でも結局「これ!」というデザインと出会えなくて。

輪千 そんな時に百合子社長が素敵なデザインを見つけた!と。すごくワクワクした様子でした!
それが小野豊一さんの「吾亦紅(われもこう)」という型染めの作品でした。

啓子 たしか9月11日だった。とても素敵なデザインで、もう、これは全員一致で「小野さんに依頼しましょう!」と決まったわ。

輪千 すぐに百合子社長の開発への熱意とわたしたちの思いを、小野さんにメールで送りました。
その後、わざわざさん(長野にある、パンと暮らしの道具を扱うお店)で小野さんの個展か開催されているのを知って見に行きました!小野さんにはお会いできなかったけど、型染めの素晴らしい世界が広がっていて、ますます思いが強くなりました。

池内 小野さんからお返事が届いたと聞いた時はドキドキしました。

小川 わたしたちの思いが伝わった!ってみんなで喜びました!

石川 輪千さんは電話で小野さんとお話ししたと言ってましたよね?

輪千 そう!クリッパンとのコラボレーションが嬉しくて飛び跳ねそうだった、とおっしゃってくださって、本当に嬉しかった!

加藤 それから小野さんがスーツケースいっぱいに型染めのパターンを持ってイーオクトに来てくださって、みんなで「わぁっ!」と盛り上がりましたね。ブランケットになった時のことを思ってわくわくしました!

啓子 小野さんが来社されたのは10月8日だったわ!
魅力的なデザインの中からみんなで「吾亦紅(われもこう)」と「無量花(むりょうばな)」を選んで、23日にパニラに伝えたのよ。

勝又 デザインをふたつに絞るの、悩んだでしょう?

輪千 どれも素晴らしくて!
「吾亦紅」は全員一致でこれ!と決まって、「無量花」は小野さんの創造の花なのだけど、社長も「北欧にも和にもなじむ柄ね!」って。

池内 デザインが決まったら、みんなで柄の大きさやバランスを考えました。コピー用紙をブランケットのサイズにつなぎ合わせたものを何パターンも作りましたね。

石川 そみんなでブランケットの完成イメージを描きながら意見を出し合って、すごく盛り上がりました!
吾亦紅の一辺に無地のスペースをつくろう!とか、2020年の春夏コレクションのテーマ「水 空 蒼 Blue in Nature」に合った色にしたいね、とか。

啓子 あの無地スペースはよかった!引き締まって上品なデザインになったわ。

小川 みんなで、吾亦紅も無量花も染めていないナチュラルカラーは必ず入れたい、あと1色ずつは夏空や森をイメージしてきれいなブルーと落ち着いたグリーンに決めて、輪千さんがサンプルの発注をしました。

中島 そのサンプルが届いた日が、ね!

勝又 12月24日!クリスマスイブに待ちに待ったプレゼントが届きました!

啓子 パニラに、嬉しいクリスマスプレゼントをありがとう!とお礼のメールをしたの。ブランケットに触れた時の肌ざわり、リネンとシュニールコットンの組み合わせが想像を越えて素晴らしかった!って。

輪千 サンプルの入った箱を開ける瞬間のワクワクドキドキをみんなで共有したくて、開封せずに社長とメンバーを呼びました!

加藤 みんなで考えて開発したブランケットを実際に見て触った時は、本当に感動しました。

一同 大きくうなずき。

中島 わたしが開発ものがたりをつくりたい!と思ったきっかけが、まさにあの瞬間です。社長がね、キラッキラの笑顔で、もう、飛び跳ねんばかりに全身で喜んでいて。無邪気な少女のようでした~。

池内 サンプルを見た時のあの感動が、わたしたちの気持ちを大きく押してくれて、素敵なビジュアルが欲しいね、とか、ブランケットのキャッチコピーを決めよう、とか、どんどん前進しました。

勝又 キャッチコピーは全社員から募集して、響くことばに丸をつけていきました。
そのことばを取り入れて1月に「シャリっとリネン、ふわっとシュニール いいとこどり サマーブランケット新定番」に決定しました!

啓子 メインビジュアルはシックで上品なスタイリングのスペシャリスト、黒田美津子さんにお願いして、ため息が出るくらい素晴らしいスタイリングをしていただきました。東京に雪が吹きすさぶ日に。

加藤、輪千、中島 真夏のシーンの撮影を!(笑)
(この日の撮影には啓子、加藤、輪千、中島が参加。首都圏で積雪が観測された日でした!)

啓子 それからリーフレットを制作して、2月の受注会でお披露目しました。
開発からここまで、リネン&シュニールコットンブランケットは多くの人たちの力から生まれました。
イーオクトがクリッパンの輸入をスタートしたのは2005年のこと。(この時点でイーオクトは総輸入元でしたが、数年たってそろそろ総輸入元の契約書をつくろうと両社で話し合って締結したのが2012年でした。)
クリッパンをスタートして15年目で100%オリジナルのブランケットを開発できたことは感慨深いです!



写真:結城剛太 スタイリング:黒田美津子
special thanks to kotte&co. / Carl Hansen&Son Japan / Louis Poulsen Japan / Living Motif


(後編につづく)

開発物語三の巻:開発よもやま噺(後編)

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