トップページ 読むeマガジン サステナブル研究会 2021/07/16 いまさら聞けない!森のちから?

いまさら聞けない!森のちから?

インターンの田村です。
気温の高い日が続き木陰の気持ちよさに改めて気づく7月、みなさまはどのようにお過ごしでしすか。

さて、6月のサステナブル研究会は、「いまさら聞けない!森のちから?」と題し、weMORI日本代表で環境活動家のすっぴーさんをお迎えして、森についてのサロンを開きました。
weMORIは熱帯雨林に注目して森の再生を目指し活動しています。

今回のサロンですっぴーさんにこの質問をさせていただきました。

あらゆる環境問題の中で森に注目する理由は何ですか?

サステナブル研究会 2021/07/16 いまさら聞けない!森のちから?

生態系の破壊や、海のサンゴ礁、魚の乱獲など様々な側面の問題がありますが、最も重大な問題は気候変動と生物多様性の二つ。
その二つに注目した時に効果的にこの問題に取り組むには「森」だと考えたそうです。

気候変動はオゾン層破壊による気温の上昇が大きな原因となっています。みなさんもご存知のように、その原因は二酸化炭素などの温室効果ガスです。森は二酸化炭素を吸収してくれます。

生物多様性の面ではどうでしょうか。
森では多くの植物が育ち、そのなかに多くの動物や昆虫、微生物など様々な生物が生息しています。自然に生えている植物はもちろんその土地にあった特徴を持ち、動物はその土地で生き抜く術を持っています。お互いが作用しあって生態系は出来上がっています。

しかし、この自然の力でできた森に人間が入って破壊された土地にもう一度森を作り直すには長くて15年かかる可能性があるそうです。
そのため、weMORIの熱帯地方での植樹活動は、その土地に根差した様々な木々を植えています。
「人類は野生動物の絶滅を食い止めなければならない、さもなければ、人類が絶滅の危機に瀕するだろう」

このように国連からメッセージが発せられるほどその重要性は人類の存続にかかわる大きな問題です。
生物多様性を守ることは森を守ること、森を守ることは生物多様性を守ることになっているのだと学びました。
では、weMORIが色々な地域にある森の中で、熱帯雨林に注目する理由は何でしょうか。


サステナブル研究会 2021/07/16 いまさら聞けない!森のちから?

日本などの森でなく、熱帯雨林に注目する理由は?

色々な地域にある森の中、熱帯雨林とは熱帯に分布する森林(熱帯林)の一種です。
年平均気温25℃以上、年雨量が2,000mm以上で降雨量が多い地域です。

熱帯地域は世界の陸の面積の7%しかありません。そこには陸全体の約半分の生物が生息しています。あらゆる種類の生物が密集して、そこには森ができています。

熱帯雨林では2倍の二酸化炭素量が吸収され多様な生態系を支えていますが、伐採による開拓が行われ森林減少が著しいです。

ここで日本に最も近い熱帯雨林の地域であり、weMORIのプロジェクト先であるボルネオ島に注目してみましょう。

ボルネオ島と私たちのつながりは木材やパーム油が輸入されていることにあり、それらが森林減少の大きな原因となっています。(パーム油とはアブラヤシという植物からとれる油のことです。この油は日本でも多くの製品に使われており、洗剤や食品などにも使われています。)

ボルネオ島では1980年までは手つかずの森が広がっていましたが、熱帯雨林の80%が伐採による深刻な打撃を受けています。島の風景は変わり、現在までに50%が減少したといわれています。

こうした熱帯雨林に注目して森の再生を目指しているのがweMORIの活動です。
毎日コーヒーを一杯買う感覚で、植樹のための寄付がアプリで簡単にできます。

森林保全の重要性を知った一方で、今プラスチック製品の代替品として紙を使ったものが増えてきています。それは森林保全に逆らうことになるのでしょうか?

サステナブル研究会 2021/07/16 いまさら聞けない!森のちから?

紙を消費することは森林破壊にならないの?

プラスチック製品が紙製品に置き換わってきている今、この素朴な疑問について考えてみました。

わたしの印象は、伐採は一概にダメではないということです。
基本的に林業において木は根元から伐採されます。しかし、林業の役割は木を切るだけではなく、伐採後に苗を植え、木へと育て、そしてまた森を作り、木を伐採するサイクルの継続も重要な役割です。

では、日本に最も近い熱帯雨林の地域であり、weMORIのプロジェクト先でもあるボルネオ島やスマトラ島では、何が起きているのでしょうか?

WWF JAPAN 「ボルネオ島の森林保全」(2014.10.21)によると、ボルネオの森林破壊の主因のひとつは、輸出用の木材を調達するための過剰な伐採や、違法伐採です。例えばインドネシア領の低地熱帯雨林は、1985年から2001年の間に実に29,000?も伐採されました。東京都の面積は約2194?なので約10倍です!

同国では森林伐採の際に、行政機関の発行する伐採許可証が必要ですが、生物多様性が豊かな森に伐採許可が出てしまったり、保護が公約されたはずの土地に、重複して伐採許可がおりたりしてしまうことも少なくありません。

森林の減少や、伐採のために作られる道路は、湿度の高い熱帯の森を乾燥化させる一因になるほか、森の奥まで人が入り込むことを容易にし、野生動物の密猟や、違法な野生生物取引の原因にもなります。

サステナブル研究会 2021/07/16 いまさら聞けない!森のちから?

木材や植物油、紙製品は日々の生活に欠かせません。その生産や利用が悪いわけではありませんが、持続可能でない方法で生産された林産物が流通し、それを知らず知らずのうちに使っていることも現実です。

いつも何気なく使っている紙や木材製品が、貴重な自然林を壊し、野生生物たちの生息地を奪っている可能性があることを、日本の人たちもまた、強く認識してゆかねばなりません。

伐採したら植樹する、生態系を保つ、管理するというサイクルがあれば紙を消費することは、環境問題に取り組む良い解決策になります。

weMORIは、熱帯雨林に注目して森の保全と再生を目指しています。熱帯雨林は、日本の森林(温帯林)と比べると光合成の量は約2倍。地球の肺です。

今回サロンに参加していただいたすっぴーさんはe.マガジンで森林の課題や大切さついてもっと詳しく記事を連載してくださっています。是非ご覧ください♪

それでは皆さま、次回は8月号でお会いいたしましょう。

サスティナブル研究会担当:田村有莉菜